身近にある材料で作ることができる改良かまど。中に薪を入れ鍋をのせて調理するので、熱効率が格段によい
改良かまど普及
ブルキナファソのほとんどの家庭では、3 つの石を三角形に置いて薪をくべ、その上に鍋をのせ煮炊きします。しかし、この方法は熱効率が悪く、大量の薪を必要とするため、女性たちは毎日のように薪を集めたり、購入したりしなければなりません。最近は都市化によって森林が減り、薪が手に入りにくく、3~4時間も探しまわることがあります。また、薪のために多くの木々が伐採されるなど、森林破壊の一因にもなっています。森林の破壊は生態系を乱し、気候変動を引き起こす原因になるとわかっていても、毎日の食事を作るためには木を切らざるを得ない葛藤を住民たちは抱えていました。
そこで、HFWは改良かまどの使用を提案しました。岩手県にルーツがある改良かまどは、青年海外協力隊によって1990年代から開発途上国で広く普及し、各地で効果を上げているかまどです。熱効率がよく、薪の使用量を40%も抑えることができます。しかも、原材料は小石、穀物の茎、牛糞などすべて自然にあるもので、新たに購入する必要がありません。材料を混ぜてこね、4-5日間水をまいて寝かせた後、形を作って10日間乾燥させて完成です。改良かまどを使うことで、薪の使用料が減り、森を守ることができます。薪を集める時間や購入費用が抑えられ、調理にかかる時間も短縮できるので、女性の家事労働の負担も大幅に削減できます。
HFWは、4月にゴムトアガ村で郡の森林官を招いて、改良かまどの利点を伝え、作り方の研修を行いました。この研修には4ヵ村の40名もの女性が参加しましたが、いずれも自分たちの村で広めたいという意欲を持って参加した人ばかりです。 研修後、参加者は自分の村で、ほかの女性たちに改良かまどのすばらしさ伝え、実際に試作しました。 今後、事業の推進役が定期的に各家庭を訪問し、使い始めて生活がどう変わったかを調査していく計画です。
土台になる3つの石を鍋の大きさに合わせて置き、大きさを決める
大量の薪を必要とする従来のかまど。石と石のすき間から熱が漏れ、煙も大量に出る
従来のかまどでは、大量の薪探しや調理に時間がかかる。女性の毎日の家事労働時間は10~11時間にのぼる
Message from Burkina Faso
私は12人家族で、毎日たくさんの薪を使います。必要に迫られて自然にある木を切っていました。雨の恵みを与えてくれているのは森林で、木を切るべきではないと教わっても、食べていけなかったのです。しかたなかったとはいえ、これまでの行いを後悔しています。ですので、今回の研修に真っ先に名乗りを上げました。改良かまどは、この負の連鎖を食い止めるのに大変有効な手段だと思っています。これを村の他の女性たちにも伝えて、ぜひ広めていきたいです。
ヴェロニク・コンパオレさん(34歳 ピシ村)