定期的な郡庁舎での会議を通して運営状況を改善してきた(写真は2019年撮影)
ブルキナファソには、貧しい住民のために食料を安く販売する食料備蓄庫が各郡に設置されています。しかし、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)が活動するクブリ郡では食料備蓄庫の運営方法が不適切だったために、本来の役割を果たせていませんでした。そこでHFWは、2018年からクブリ郡の食料備蓄庫の運営改善を求めるアドボカシーを住民が行えるよう支援し、成果をあげてきました。そして今後は、HFWの支援で組織された運営委員会を構成する住民と行政が、食料備蓄庫の管理や運営や改善を担っていきます。
12月に郡庁舎で開催された食料備蓄庫の定期運営会議には、クブリ郡の代表と食料備蓄庫の管理人、HFWの事業地である4つの村の代表、HFWから事業の推進役と職員が出席しました。会議では2020年の事業評価や課題の洗い出し、より良い食料の提供方法などについて話し合われました。
例えば、行政から備蓄庫への穀物の補充は毎回期日通りに行われたこと、2020年の1年間を通して400トン以上の穀物が供給されたことが報告されました。事業を開始した当初、備蓄庫に食料がなかったり、利用対象ではない比較的裕福な層にも供給していたりと、安価な食料をより必要としている貧しい住民が購入できなかったことと比べると、運営は大きく改善され確実に成果が出ています。
一方で、提供された穀物はほとんどがトウモロコシで、アワ(キビ)やソルガムは少量であることが共有されました。このことは一部の利用者が穀物の多様性がないことを不満とアンケートで回答しています。
このようにアドボカシーで運営状況が改善した後にも、HFWは、定期的な視察や行政と住民が協議するための枠組みとして運営委員会などの体制を整え、その改善が保たれ、促進されるように働きかけてきました。さらに、地域住民の代表と共に会議に出席することで、住民によるモニタリング(視察)と提言の能力も強化してきました。
これらのことが軌道にのったことから、2020年12月の会議をもってHFWはクブリ郡の人口約6万人の「食料への権利」実現を支える食料備蓄庫の運営改善事業の支援完了を判断しました。今後は運営委員会が、HFWがいなくても住民の声を取り入れながら、運営していきます。穀物の種類の偏りなど、すでにあげられている課題から取り組んでいくことになります。
会議には郡の担当者、備蓄庫の管理人、住民の代表などが参加(写真は2019年撮影)
Messages from Burkina Faso
外部からの視点と賢明な助言をHFWが提供してくれたことで、異なる意見がまとまり、備蓄庫の良好な運営が実現しました。
(郡長代理:パウル・イズマエル・ティエンドレベオゴ)
HFWの働きかけで以前は食料備蓄庫を利用していなかった住民の関心を集める新しい仕組み※や、通気性をよくして備蓄食料を守るスノコが導入されました。また、HFWのスタッフが食料備蓄庫の営業日に同席してくれることで、備蓄庫の運営状況は改善されてきました。
(※以前は、ほとんどの住民が、お金がないと利用できないと思い、食料備蓄庫の利用を諦めていました。不適切な販売をしていた管理人たちの刷新、貧しくても共同購入できる仕組みの導入、食料不足に対応するための備蓄庫であることを周知する取り組みなどを行いました。)
(食料備蓄庫の管理人:ウスマン・カボレ)