
刺しゅうの練習にも一針ずつ気持ちがこもります
女性対象の収入創出および権利啓発
若くして結婚させられ、教育を十分に受けられず、縫製技術なども身につけられなかった女性たち。家計に貢献できないため、彼女たちの家庭内での地位は低いばかりか、夫が亡くなったり、バングラデシュでは珍しくないことですが、夫から一方的に離婚されたとき、たちまち食べるものにも困ってしまいます。
家計に貢献できる、収入を得られる技術を身につけたい。こうした女性たちのニーズに応えるため、HFWでは2003年から縫製訓練を実施してきました。2008年度までに訓練を受講した女性は600名を超えます。
ニーズに合わせて訓練の形態もさまざま。女性服、子ども服の作り方を学ぶ2ヵ月間の基礎コースは、お店で服を買わなくてもよくなり節約に直結すると、特に人気のコースです。販売収入を得られる技術を学びたい女性のためには、3ヵ月間のコースを実施。女性服、子ども服に加え、男性用の服の作り方も学べます。そのほか、バングラデシュの伝統的な刺しゅう“ノクシカタ”を学ぶ1ヵ月のコースや15日間の型染め※コース、5日間のビーズ刺しゅうのコースなども提供しています。訓練を受講した女性の約3割が、学んだ技術を生かして実際に商売を始めています。
通常、これらの訓練は村の中心地にある有機農業センターやHFW地方事務所の一室などのHFWの施設内で行われますが、遠く離れた村の女性たちからのリクエストを受け、各村で青空教室として実施することもあります。また、女性たちの希望に合わせて、訓練内容を柔軟に変更することもしばしば。各村々を巡回しているHFWの地方事務所の職員が、日々の活動の中で女性たちと話し合い、こうしたニーズを汲み上げています。
訓練は、期間中の週4~6日、1日数時間ずつ行われます。そのため、当初は快く送り出してくれた家族が、女性が毎日外出することに次第に難色を示すようになり、途中で来られなくなってしまうことも。今後、家族の理解を得られるようにするための工夫や、受講のルールづくりに取り組んでいく予定です。
※型染め:染料を木判に塗り、布に押して染める手法。
絞り染めも、徐々に慣れた手つきに
Message from Bangladesh
夫は日雇い労働者で我が家はとても貧しく、どうにかして私も収入を得て家計を楽にしたいと願っていました。そんな時、HFWの縫製訓練のことを耳にし、すぐに申し込みました。今ではほとんどのコースに参加し、いろいろな縫い方を習得しました。2ヵ月前にミシンを購入し、近隣から依頼を受けて縫い物を始め、2ヵ月で500タカ(約750円)の収入を得ることができました。夫を助けられるし、私も家計に貢献できることをとても嬉しく思っています。家族も一目置いてくれています。得たお金で子どもに教育を受けさせたいと考えています。
フルモティ・ベグムさん(カリガンジ郡ボリダパラ村)