カリガンジ郡で完成した農業訓練センター
持続可能な農業普及のための農業訓練センター
HFWは、2005年から行っているボダ郡での農業訓練センター事業の経験を生かして、カリガンジ郡でも農業訓練センターの建設に着手。2010年3月には主な施設が完成しました。施設の竣工に先立ち、農場を整備して2009年度から2010年12月までに計15回の研修を実施。のべ355名の農家が、牛フンや落葉などを使った堆肥づくりや、植物性農薬のつくり方、養蜂、家畜の管理方法などの有機農法について学びました。
地域の農家は、有機農業に大きな関心を寄せていて、2010年1月に地元農家約30名が有機農業組合を設立しました。メンバーは、有機農業に関心を持つ農家に自分の作物を見せたり、化学肥料を使わなくても十分な収穫が得られるしくみを説明するなど、地域での有機農業普及のために活動をしています。その成果が実り、評判を聞きつけて日帰りできない遠方の村から学びにくる農家も現れています。
さらに、2011年3月には農業訓練センターで「有機農業フェア」を開催。センターのあるムンディア村や周囲の村々から約3000名が来場しました。フェアでは、15名の有機農家が自慢の有機野菜や在来種の米粉でつくったお菓子を販売。農家にとって、丹精こめて作った野菜や自分の有機農法を大勢の住民に紹介するのは初めてのことで、住民たちも有機農業や安心で安全な食べ物について知ることができました。
Message from Bangladesh
私はボダ郡の農業訓練センターの責任者を3年間務めた後、カリガンジ郡のセンターの責任者として着任しました。ボダもカリガンジも地域住民の8割以上が農業を営んでいるため、農業を持続可能なものに変えていくことが、貧しい住民の生活を向上する上で大きなカギとなります。
カリガンジはボダより首都に近いこともあり、政府が推進してきた近代農法の影響が非常に強く、有機農業に漠然とした疑いや不安を持つ農家がボダよりも多くいます。また、ボダの砂っぽい土壌と違い、カリガンジは粘土質で水はけが悪いのです。そこで、この土地に合った作物や研修方法など、効果的なやり方を日々試行錯誤しながら研究しています。そのかいあって、これまでに約150名の地域農家が有機農業をはじめています。今後も、一人でも多くの農家の生活が向上し、地域の環境を守れるよう、力を尽くしていきます。
シャヒン・ホサインさん(カリガンジ郡農業訓練センター責任者)