かつては病院が遠く、健診をあきらめていた妊婦さんたち。今は、近所で健診を受け、超音波検査で赤ちゃんの様子をみることもできます
母子保健センター
2008年にボダ郡で本格開業した母子保健センターは、安心して利用できる病院として地域住民に知られるようになってきました。しかし、産婦人科医がいるわけではなく、設備も十分ではありませんでした。
そこで2011年9月に、妊婦の血液検査や超音波検査を行う検査室を開設。これにより、逆子や胎盤位置の異常といった難しい妊娠も早期発見しやすくなり、赤ちゃんとお母さんの命を救える可能性が高くなりました。実際に、2012年7月末までに497名が検査を受け、貧血の妊婦に鉄剤を処方する、帝王切開が必要な妊婦を大病院へ紹介するなどの適切な措置をとることができました。
さらに同年10月には、女医による月1回の産婦人科診察を、2012年2月には週1回の男性医師による診察を開始し、2012年7月末までに472名が受診。お産に向けてお母さんの健康状態を確認し、必要に応じて健康指導や治療を行えるようになりました。
(バングラデシュ支部事業統括職員:アンジュマン・アクター)
※バングラデシュでは、女性は一般的に男性に診察されることを嫌がるため、農村地域で週1回勤務可能な女医を探しました。近隣のめぼしい女医全員と交渉しましたが、本人に勤務意欲があっても夫や義母など家族の理解を得ることが難しかったため、断念。男性医師も雇用することにしました。ただ、この男性医師は女性たちと打ち解け、親身になって話を聞くことに長けていて、一部の保守的な女性を除けば、患者さんたちの心理的抵抗もそれほど強くないようです。
※この事業は日本国際協力財団の助成を受けています。
Message from Bangladesh
初めての子どもは、生後8ヵ月で亡くしました。二人目を身ごもり、あるときお腹が痛かったので、センターのお医者さんに相談したところ、超音波検査を勧められ、その日のうちに検査しました。赤ちゃんを見て感動しました。頭があり、両手があって、心臓が動いていました。赤ちゃんに異常はなく順調に育っていると聞いてひと安心。お医者さんからは、昼間にも少し休むことや重い物を持たないことを指導されました。帰宅して夫や家族に報告すると、みんな喜んでくれました。お腹にいる赤ちゃんの様子をこんなに簡単に見ることができるなんて思いませんでした。街の病院よりずっと安く検査できます。このまま、赤ちゃんが元気に育って、無事に産まれてきてほしいと思います。
(サリナさんは、2011年12月に、元気な男の子を出産しました。)
サリナ・ベグムさん クマルパラ村