小学校に通ったことのない卒業生が、新しい教員に採用されました
青少年・成人対象の識字教育
当初70名だった生徒数も280名を超えるまでになった識字教室。こうした住民の識字教育への関心の高まりを受け、2008年度は今まで使用していたベナン政府推奨の指導要綱に代わる新たな「識字教育指導マニュアル」をHFWが独自に作成。農村地域の実情により合った識字教育を行えるようになりました。新しいマニュアルでは、その日習うフォン語のアルファベットと身近な内容を関連づけて教えられるようになっています。たとえば、アルファベットごとに「清掃」「手洗い」といった単語を連想して覚えるようにするなど、衛生的な生活習慣の知識も同時に身につけられる内容です。
このマニュアルの導入のため、2008年末に教員研修を実施しました。ベテラン教員2名に加え、識字教室の卒業生の中でも特に優秀で教員への関心を示した生徒8名も参加。研修の最後には試験が実施され、卒業生8名のうち4名が識字教室の教員として新たに採用されました。新任教員の中には、小学校にも一度も通ったことがなく、HFWの識字教室に通うまではペンも持ったことがなかったという人も含まれています。
授業を担当し始めた当初は、授業ごとの準備が追いつかない教員もいました。また、自分の出身の村で教えているため、知り合いが多くいる教室で教員として振舞うことに抵抗を感じる人もいました。けれど、かつて生徒として参加し、読み書きができるようになったという貴重な経験をしている教員たち。その経験をたくさんの人と分かち合いたいという気持ちと、識字が地域発展のカギとなるという強い意欲をもって臨み、2009年7月には、学期を無事に終了することができました。
小さな石板で字を書く練習
アルファベットから連想した言葉「本」などが書かれたメモ
Message from Benin
読み書きができるようになったことは、私にとってとても貴重な経験でした。それを他の人たちにも広めたいと思い教員になる決意をしました。最初は、女性から何かを教わることに抵抗を感じる男性もいましたが、少しずつ理解を得て、担当していた教室の生徒は誰も落第せずに全員で学期を終えることができました。来学期はさらに授業内容を工夫したいと思います。
エステル・ケマヨンさん(識字教室新任教員)