対象となった住民たちに3頭ずつ配布された。写真はピシ村の様子
家畜事業
2013年12月に、ウェドビラ村、ピシ村、ワムテンガ村、ゴムトアガ村の4ヵ村で、ヤギの飼育・販売事業を始めました。牛や鶏よりもヤギは病気に強くて、繁殖力があり、値段も手ごろで人気の家畜です。
この事業は3年間計画で、初年度は、各村の約1/3にあたる20世帯が取り組みます。対象者は、配布されたヤギを交配させ、生まれた子ヤギを次年度の対象者に提供。その際には、ヤギの飼育方法などについて助言を行い、その後も継続して飼育状況を見守ります。同時にエサとなるトウモロコシやミレットなど穀物の茎や皮なども一年に渡って提供します。このことによって、住民同士が緊密につながり合い、協力して事業を継続していこうという意識が生まれます。
この地域は、もともと住民同士で協力しあって何かするというよりも、一人ひとりがそれぞれの生活レベルを上げることのほうに強い関心を持っていました。これまでのHFWの事業を通じて、地域全体の発展のためには、人々が連携し助け合うことが不可欠だということを、繰り返し伝えていった結果、少しずつ意識が変わってきました。今回の事業では、さらに村の住民同士の結びつきを強め、地域の連帯感を育む狙いがあります。
住民は、ヤギの飼育にあたって、獣医によるヤギへの予防接種と飼い方の講習を受けます。そして、保証金15000セファ(約3000円)を支払います。ヤギの飼育ができなくなったり、不注意から失ったりした場合、保証金から差し引かれますが、何ごともなく子ヤギが次年度の対象者に引き渡された場合には、全額返金されます。住民たちは事業の価値を十分に理解し、保証金を支払って参加することに躊躇ありませんでした。対象者の選出にあたっては、あらかじめ希望者を募り、村の会合で全員の合意をとったうえで決定。希望者多数の場合は、より貧しい世帯や母子家庭などが優先されました。
この事業ではモニタリングも住民が主体的に行います。各村から2名ずつ選出されているHFWの事業の推進役と、この事業の対象者から選ばれた2名がともにモニタリング委員として、定期的にヤギの生育状況などを確認しHFWに報告します。
獣医が配布するヤギに駆虫薬を飲ませる。同時に対象者に飼育上のアドバイスも
ヤギは主に食用とされる品種。繁殖販売用として、4ヵ村で一斉に配布された