台の上に食料を保管したことで、洪水の被害から免れた
ブルキナファソ政府は、食料安全保障という観点から、各地域に政策として「脆弱な人々のための穀物販売所(通称:食料備蓄庫)」を設置しています。政府から供給される穀物を備蓄※、運営は郡が行い、食料備蓄庫では貧しい住民が国の補助により市場価格より安く穀物を購入できます。しかし以前、クブリ郡の食料備蓄庫の運営には問題があり、食料が枯渇したり、あっても裕福な人が優先的に購入したりして、貧しい住民が購入できないなどの問題がありました。
※販売されるのは、トウモロコシ、アワ(キビ)、ソルガムのいずれか。また、ブルキナファソの生活と食については、こちらのレポートをご覧ください。
ハンガー・フリー・ワールド(HFW)では食料備蓄庫の運営体制を改善し、本来の「貧しい住民のための備蓄庫」としての役割を果たしてもらうためのアドボカシー活動をクブリ郡の行政に対して実施。その結果、2019年1月の活動レポートで報告したように、運営体制が一新され、本来の目的を果たせるようになりました。また、その後もHFWでは月例モニタリングを通して必要に応じた改善を促してきました。
改善点のひとつが、2019年末から今年の年初にかけておこなわれた改修工事です。以前は備蓄食料を倉庫の床に直置きしていましたが、すのこのような台を設置し、その上に食料袋を置くように改善。今年8月末から9月中旬にかけてサハラ地域で起きた大雨による洪水でも食料が水に触れることなく無事でした。
9月のモニタリングでは、貧しい住民でも買える安定した低価格であること、感染症対策として手洗い場が設置されていたこと、そして食料が十分に備蓄されていることが確認されました。
コロナ禍においても、食料備蓄庫から安定して貧しい住民が買える価格で穀物を供給し続けられた点はクブリ郡の「食料への権利」実現への大きな成果といえます。
備蓄庫の管理者は「毎月、穀物は供給されています。10月分の穀物は今日届きました。郡長からの販売開始の指示を待っているところですが、もうすぐですよ」と話してくれました。
販売開始前にはラジオで販売日を告知し、さらに、コミュニティ開発を担当する郡の評議員たちが各村の住民にも情報を伝達するとのことです。
HFWでは今後も地域の代表者や備蓄庫の管理者と相談しながら、食料備蓄庫のモニタリングを継続し、その効果を維持することで、郡の人口約6万人の「食料への権利」実現に貢献していきます。
2018年7月、食料備蓄庫の運営体制が一新された後、食料を購入し備蓄庫から運び出す住民
感染症対策のため手洗い場が設けられている
トラックで運ばれてきた食料を倉庫に移す。この日に運ばれてきた食料は10月分
日本の若者のコメント
インフラ整備は水道とか大きなものを想像していたけど、すのこという簡単なものでも、インフラは整備できるのだと驚いた!
YEH東京メンバー
ただ貧しくて食料が足りないという状況だけではなく、制度に問題があったりと貧困の裏には様々な背景があるので、理由をきちんと考える必要がある
YEH東京メンバー
インフラの整備だけはなくて、その後の「見守り」も大事なことなんだって思った!
YEH東京メンバー