
2024年11月に行った、有機コンポスト研修の様子
こんにちは、昨年秋から新しく担当となりました内野です。ブルキナファソの活動レポートを約1年ぶりにお届けします。
まず、前回(2024年9月)のおさらいから始めましょう。 ブルキナファソ支部は、2022年に新しい活動サイトである、ガオンゴ郡のヴォセ村とワルドゴ村での活動を開始しました。住民主体の手法をベースに、この2村のコミュニティとブルキナファソ支部と”お試しプロジェクト”をスタート。お見合いのような感覚で、相互理解を深めていく挑戦をはじめました。これが、2024年のパイロットプロジェクトということになります。
2024年は、持続可能な農業をめざし、この2村から80名ずつの農家さんが活動に参加しました。具体的には有機コンポスト作り、環境の変化に強い優良な種子を選ぶため、栽培する作物の種子選定の改善をしました。
また、それまでの農業生産量と比較し、ヴォセ村は30%、ワルドゴ村は35%増産という具体的な数値目標も設定しました。ここで、一つ地味ですが大切なことをお伝えします。それは、各農家さんが栽培する耕作地の面積を測量したということです。これまでは現地の慣習にないため、自分が耕作する土地の面積を測量するとことがなかったのですが、耕作地面積を測量し自分が耕す土地の広さを数値で把握しました。これにより、単位面積当たりの収穫量を算出することも可能になります。これでお互いに同じ単位をもとに、話し合うことができるようになり、これからが楽しみです。
プロジェクトに不可欠な重要人物
さてここで、重要な登場人物をご紹介します。それはこの地域を管轄している農業省の出先機関の農業技官です。農業技術の指導、活動のモニタリングにも参加してくれ、特に、雨季で道がとてもぬかるみブルキナファソ支部職員でさえ対象の2村へのアクセスが非常に難しいときも、農業技官はモニタリングを続けてくれました。
特に、有機たい肥を積んだその後の状況を見回ってくれたおかげで、堆肥化の様子を各農家がしっかりと把握することができました。このように、パイロットプロジェクトが進む中で、コミュニティがこれからめざす姿や、「HFWの役割とは?」を確かめながら進んだ1年でした。
困難な状況下での、目標達成
今年、2025年4月の報告では、対象2村が目標の農業生産量の増加を達成したことが報告されました。途中、害虫被害にも遭いましたが、コストがかかる農薬散布ができなくても、植物の葉で害虫を挟んで潰すという指導を農業技官から受けて実行したことも、目標達成に貢献したようです。
このようにパイロットプロジェクトで得た成果をもとに、各村が自分達の今後5年間の計画づくりにも挑戦しました。引き続き持続可能な農業を目指し、特に子どもと女性の栄養改善にも取り組む計画です。保健、教育、畜産分野への活動も盛り込まれ、その他のパートナーシップで実現することを考えているそうです。
不安定な情勢、気候変動の影響が続いているブルキナファソですが、そのような環境においてもできることを確実に行うブルキナベ(※)の勤勉さが近い将来多くの実を結んでくれるようにと心から願うばかりです。
※約60もの民族やそれぞれの言語が共存する、ブルキナファソ。モレ語の「高潔な人々」を意味する「ブルキナ」に、ジュラ語の「祖国」を意味する「ファソ」をつけて国を、プル語の「人」という意味の「べ」をつけた「ブルキナべ」で、ブルキナファソ人という意味でよく使われます。
私が報告しました!
内野香美 HFWプログラムオフィサー
JICA海外協力隊(旧:青年海外協力隊)でセネガルに赴任して以来、西アフリカ仏語圏で農業、環境関係の活動を続けて早30年!
HFWではブルキナファソとベナンを担当させて頂いております。両国とも赴任経験があるのでそれを活かしていければと思っています。