ウリ科の野菜を収穫
持続可能な農業普及のための農業訓練センター運営
近代農法がバングラデシュで導入されたのは、1960年代のこと。生産性を高めて貧困問題を解決するために、国を挙げて、農薬や改良品種の導入、灌漑設備の整備などに取り組んだのです。その結果、当初は収穫が増えるという成果がありました。しかし、農薬を大量に使いすぎたことで、土の中に住む微生物が減少し、土の栄養価が低下。農作物は病気や害虫の被害を受けやすくなり、それらの被害を予防するためにさらに農薬を投入する……という悪循環が起こっていました。また、改良品種の多くは種子を残さないので、毎年新しい種子を買わなければなりません。農業を行うために種子と農薬を購入する費用は、貧しい農民たちにとっては大きな負担です。
そこでHFWは2005年8月に農業訓練センター設置事業を開始。現在は、完成したセンターで有機農業の普及や、住民の栄養改善・収入向上を目的に、さまざまなプログラムを実施しています。
穀物や野菜の栽培のほか、減少しつつあるバングラデシュ在来品種の保存、育苗を行っています。農薬を用いずに、それぞれの農作物が持つ特徴を生かした作付けを行うことで、病害虫による被害を抑えています。
また、堆肥作りや土壌には有用な細菌を活用。住民たちには牛やアヒルの飼育、養魚・養蜂、ケナフから紙を作る技術などを指導。収穫物を使って学校給食を提供するなど、地域の子どもたちの栄養状態改善も行っています。
この事業は、外務省の日本NGO支援無償資金協力による資金によって実現しました。