
演劇で権利について伝え、みんなで考えるきっかけに
権利啓発
ベナンでは、伝統的に土地や資産の相続は女性に不利に行なわれており、子どもは幼いうちに結婚させられてしまうなど、女性や子どもは、特に弱い立場に置かれています。そうした人々の権利を守ろうと、相続の男女平等や結婚できる年齢などを定めた「家族規約」が2004年に制定されました。しかし、法律が存在しても、人々がその内容を知らず伝統や慣習にもとづいて行動していては意味がありません。そこで、HFWはこの「家族規約」の啓発活動が必要だと考えました。
このような活動は住民の慣習や考え方に踏み込むことになるため、住民との強い信頼関係が重要です。HFWは開発事業を通して住民との信頼関係が醸成されるのを待ち、2008年7月から啓発活動に着手しました。まず、HFWの識字教室の卒業生22名を対象に、ファシリテーター(※)養成研修を実施。習いたての現地語フォン語で規約の内容を読み、メンバーが重要だと思う点を書きとめることから始めました。その後の研修では、話し合いの進行を促す技術を身につけ、権利という難しい内容を劇や歌などでわかりやすく「伝える」方法も学びました。
今後は、研修を受けた住民たちが中心となり、1ヵ月に一度、村の6つの地区に分かれて、家族規約について住民同士で語り合う場を設け、権利についての考えを深める活動を広げていきます。
※会議やワークショップなどで、進行を調整する役、対話を促す人。
演劇を見に集まった住民や子どもたち