HFWによる基礎調査の結果が全国紙で報道。「飢餓はない」としていた政府も改善に前向きに : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート バングラデシュ

2018.04.24 バングラデシュ

HFWによる基礎調査の結果が全国紙で報道。「飢餓はない」としていた政府も改善に前向きに

 

報告会の様子が報じられた新聞各紙のコピー。WEB版でも紹介された

2017年度に行った基礎調査では、主食を3食とれない世帯が約半数など、HFW活動地域では食料事情が依然として厳しい状況が明らかになりました。この調査結果によってHFWは地域開発事業の見直しを行いましたが、それだけではなく、この情報を多くの人々と共有。「飢餓はない」という見解を持つ政府内でも一部の省庁が、国民の栄養状態の見直しに前向きな姿勢を示し、メディアも全国的に報道するなど、政策への影響も期待できるようになりました。

HFWは、基礎調査で明らかになった課題をさまざまな立場の人々と共有し、解決に向けて連携していくための報告会を、2月27日にカリガンジ郡、3月6日にボダ郡で開催。政府関係者、地方自治体、NGO、地域のリーダー、宗教指導者、ジャーナリスト、地域の農家、HFWの事業の対象者など、カリガンジで37名、ボダで41名を招きました。

いずれの報告会でも、調査結果に行政担当者やジャーナリストの間では動揺が広がりました。それまでの政府の発表では、経済成長に伴って飢餓や貧困はなくなったと言われていたからです。ところがHFWが発表したものは、数字の裏付けのある客観的な調査結果であったため説得力があり、参加者たちが改めて課題の解決に向けて取り組まなければならいないと認識を改めました。政府女性省から招いた担当者は、調査地域での施策の必要性を認めました。

その後のグループディスカッションでは、それぞれの立場から何をすべきか話し合われました。
ボダでは下記のような意見が出ました。
・早婚と新生児の死を防ぐための大規模な啓発プログラムが実施されるべき。
・政府は、集会を開いて、地域の人々に行政サービスについてきちんと知らせるべき。
・母親は栄養と健康的な食べ物の調理について知っておくべき。
・地域医療と母子保健センターのサービスは、地域社会で推進すべき。
・貧困を減らすために雇用の機会を創出すべき。

また、出席した全国紙と地方紙の記者によって、この調査結果は複数の新聞で報じられ、バングラデシュ国内でも注目を集めました。HFWの職員も反響に驚くほどで、都市が発展する同国において、いかに農村部への関心が低く見落とされてきたかがわかるケースとなりました。
HFWでは、参加者した政府と地方自治体の担当者と今後も連絡をとりながら、具体的な連携の道を探っていきます。

状況改善のために動く、と述べる政府女性省の担当者

カリガンジの報告会。調査結果をわかりやすく図表にまとめプロジェクター投影して解説

参加者のコメント

調査で明らかになった貧困の状況は非常に残念だ。政府は貧困がないと言っていたが、貧困に気づかずにどうして貧困をなくすことができるだろうか、政府職員はただちに調査結果の改善に集中してほしい。

ヘラル・ウドゥンさん(農民組織のリーダー) 

この調査が国の状況と合致しているかどうかは私にはわかりません。私は今回の調査に表れているほど、女性の置かれていている状況は悪くないと思っていました。でも、この改善すべき状況であるという調査結果に基づき、これらの村で活動することを決意しました。ぜい弱な人々のための食事提供プログラム(VGD)の栄養米をこれらの村に導入し、また、より多くの女性のために妊産婦手当を支給し、研修を実施するつもりです。

コンドカー・シャリファ・アクターさん(政府女性省担当者)

情報を共有してくれたHFWに感謝します。調査結果に表れた課題は、HFWだけでなく貧しい人々のために働く私たちすべての責任です。

モスタフズル・ラーマンさん(教師)

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