
に いびょーご(現地モレ語で「こんにちは」)!
ブルキナファソ在住の“てんやわんやママ”です。
「“おいしい” ブルキナファソ」をテーマに、
現地の食文化とその魅力をお届けします。
てんやわんやママ
元ブルキナファソ在住 HFWボランティアライター
今回は日々の生活に欠かせない、ブルキナファソのキッチンをお届けしたいと思います。
水道がなくても工夫がたくさん、アミナさんの台所
いつも取材に協力してくれているアミナさんのキッチンは、水道も流し場もありません。家の中に水道は通っておらず、彼女の家にあるのは庭先にあるたったひとつの蛇口だけです。
この水道から汲んだ水を大きなバケツにため、家の中の生活用水として使用しています。取っ手のついた小さな手桶を使って、手洗い、歯みがき、料理などに用います。お米を洗うときには、手桶で汲んだ水でお米を洗い、汚れた水は手前に置いた汚水用の黄色いバケツへ入れます。
彼女が料理する様子を近くで見ていると、「洗い物が出ないように、うまく工夫されている」と感じ、つい見入ってしまいます。流し場がないため、お皿洗いは外で行います。
お皿を洗う場面でも、料理をする場面でも、きれいな水を入れておくボウル、汚れた水を入れるバケツなど、いくつかのボウルやバケツを器用に使い分けています。汚れた水は庭の草木に与え、一滴たりとも無駄にしません。
子どもたちも、蛇口がなくても困る様子はありません。ごはんを食べる前には、バケツに汲んだ水で器用に手を洗います。大人が頼んだわけではありませんが、自然と少し年上の子が小さな子の手洗いを手伝ってあげています。
蛇口がたったひとつでも、庭先の水道から水が出るときはまだ良い方です。前払いしている毎月600円ほどのチャージがなくなると、水道は止められてしまいます。そうなると、離れた場所にある共同ポンプまで水を汲みに行かなければなりません。
ガスや電気がなくても、火を囲む暮らし
ガスも同じです。お金がないと、ガスを買うことができません。400円ほどのガスが買えないときには、炭を使います。このくらいの炭が、およそ20円で売られています。以前はもう少し安かったそうですが、最近は少し値上がりしてきたとのことです。
ブルキナファソでは多くの家庭で、日常的に炭が使われています。日本で炭を使う機会といえば、友人や家族と楽しむバーベキューのときくらいかもしれません。
着火剤の代わりに、不要な紙があるときには紙を、紙がないときにはビニール袋を燃やして火を起こします。炭を使うときは、外で料理をします。日本人の感覚からすると、炭では火加減の調節が難しそうに感じますが、長年の経験と勘で、炭の量や火加減をうまく調整しています。
彼女の家には、電気も通っていません。あるのは、携帯電話が充電できる程度の小さなバッテリーだけです。キッチンには、冷蔵庫も電子レンジもありません。お茶を飲むときは、お鍋でお湯を沸かします。ごはんは食べる直前に準備し、みんなで温かいうちに食べます。
母から娘へ受け継がれる、台所の道具
ハンドミキサーやブレンダーもないため、「トゥオーゴ」と呼ばれるすり鉢が大活躍します。彼女が料理をするときには、必ず登場します。コショウもニンニクも、このすり鉢でていねいにつぶします。実は、彼女が使っている「トゥオーゴ」は、嫁入り道具としてお母さんが持たせてくれたものだそうです。
ブルキナファソでは、女性の結婚が決まると、料理道具を一式そろえて母から娘にプレゼントする慣習があります。
「トゥオーゴ」と呼ばれるすり鉢、
「ヴグリ」と呼ばれる木べら、
「ストゥグ」と呼ばれるヒョウタンのスプーン、
「ゥロコ」と呼ばれるお鍋。
どれも毎日の料理に欠かせない道具です。
そのほかにも、お皿などの食器や、「パーニュ」と呼ばれるアフリカ布、主食となるお米やトウモロコシの粉なども持たせてあげるそうです。
これらを一度に用意できる家庭は、そう多くありません。彼女のお母さんは、少しずつ、少しずつ準備して持たせてくれたのだそうです。
アミナさんにも娘さんがいます。娘さんが結婚したときには、彼女もまたお金を貯め、少しずつ道具をそろえて贈ったそうです。水道も電気も、ときにはガスもなく、日本人の私から見ると不便に感じてしまうブルキナファソのキッチン。けれどもそこには、いつもできたての温かいごはんと、母が娘を思うやさしさがあふれています。
(2021年6月4日)

アミナさんのキッチン

庭先にあるたったひとつの蛇口

水をためておくバケツ

お米を洗う

お皿洗いは外

バケツで器用に手を洗い

炭を使う

炭を使うときは外で
写真提供/てんやわんやママ