問い、聞き、考えた1年 学生チームが食と社会のつながりを探った歩みを振り返る : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート 日本

2025.05.21 日本

問い、聞き、考えた1年 学生チームが食と社会のつながりを探った歩みを振り返る

 

普段の活動の様子

私たち「フードシステム変革推進チーム(以下、FSチーム)」は、日本の食を取り巻くしくみ(フードシステム)を変えることで世界の食料問題の解決を目指す学生インターンチームです。2022年よりスタートし、この度3年目の活動が終了しましたので、FSチーム3期生の私たち、馬場・井上から、取り組みをご報告します。  

海を超えた意見交換、「現場」を知れたインタビュー  

私たち3期生は、世界の食料問題と日本のフードシステムのつながりを可視化し、企業や団体への提案を模索する活動を行ってきました。 その一環として、国連食糧農業機関(FAO)主催の「World Food Forum 2024」に参加し、 食の問題に対してアクションをする海外の若者とオンラインで意見交換をしました。その際に「ベジタリアンや食に関する知識の個人差も考慮すべき」といった意見があがり、異なる文化や価値観を理解することの重要性を改めて感じました。  

また、現場の声を聞く活動として、生産者から小売業者、飲食業者に至るまで、さまざまな業種の方々にインタビューを行いました。日常生活では得られない視点からの意見を通じて、食料課題とフードシステムの関係性に対する理解が一層深まりました。 

食料問題をとりまく課題のつながりを可視化 

イベントやインタビューで集めた情報を、私たちは問題同士のつながりをマッピングして可視化する手法で分析しました。その結果、日本の大量生産・廃棄から世界の飢餓に至るまでの一連のつながりを見出すことができました。これまでぼんやりしていた自分たちの生活と食料問題との関係が可視化され、手前どりなど日常で心がけていた小さな行動にもやりがいを感じるようになりました。完成したマップは活動報告会で発表し、貴重なフィードバックをいただきました。中でも「日本は海外と比べて品質や見た目の基準に細部までこだわる」という指摘は、日本での当たり前になっている価値観を見直すきっかけとなりました。 今後も多様な立場の方々と対話を重ね、より多角的に食料問題を捉えていきたいです。 

「World Food Forum 2024」(主催:国連食糧農業機関(FAO))に参加。英語で発表したほか参加者とワークショップを行った

国際協力イベント「グローバルフェスタ」(主催:グローバルフェスタJAPAN2024実行委員会)に出展。来場者に「自分の感じる食料問題」を付箋に書いてもらった。フードロスや餓死などの社会課題、米不足・物価高騰といった時事的な意見があがった

2月27日 HFW が事務局を務める「世界食料デー」月間の賛同団体のみなさんに、自分たちの考えた分析結果を発表

私たちが報告しました!

馬場かれん  フードシステム変革推進チーム(FSチーム)3期生 

中学の時に見たうずくまる少女を狙うハゲワシの写真をきっかけに、食料課題を学びたい気持ちが強くなり、 HFWの学生インターンに応募。大学の研究とは異なる、社会から食料課題を分析する活動は、自分の普段の生活や経験と結びつくことが多くとても刺激的です。 

井上こころ フードシステム変革推進チーム(FSチーム)3期生 

大学で文化人類学を専攻しており、高校から食を取り巻く問題に興味があったのでインターンに応募。インターンを通して多くのことを学び、自身の日常から食に対するありがたみや価値観を再認識するきっかけとなっています。

事業概要:3期生の歩みと食料問題に関する分析結果 

期間:2024年5月〜2025年3月 対象地域:日本

【フードシステム変革推進チームとは】
フードシステム変革推進チーム(FSチーム)は、「食料への権利」を実現するために活動しているハンガー・フリー・ワールドの学生インターンチーム。食料問題の分析や行動変容のための提案などを活動の中心に据え、食料問題の解決に取り組む多様な団体・企業のハブ的存在になることを目指して日々活動している。約10ヶ月のプロジェクトとして、毎年メンバーが入れ替わりながら学生が主体となって活動をつづけている。
参照URLhttps://www.hungerfree.net/whatyoucan/volunteer/foodsystemteam/ 

【3期生の具体的なアクション】
・食料問題に関わるキーワードの収集
主体的に食料問題について考えるワークショップを開催したほか、関心のある課題や取り組みに詳しい企業・団体へのインタビュー、またHFWを訪問した学生とのディスカッションを通じて、人々が注目している食料課題や視点を幅広く収集した

・分析と解釈
収集したキーワードは問題同士のつながりをマッピングして可視化する手法で分析。キーワードの再配置や取捨選択を繰り返すことで、多くのキーワードと結びつく中心的なキーワードを「レバレッジポイント(※)」として抽出した。3期生の分析では「過度な消費者優先のフードシステム」が、世界の食料課題につながる因果ループの起点となっていることが明らかになり、レバレッジポイントとして特定された。
 ※働きかけきかけを行うことで、多くの事象に波及的な影響を与え、優先的に取り組むべき重要なポイント 

 ・提案内容を導く
特定したレバレッジポイントをもとに 現状を改善する上での新たな切り口を考え、「過度な消費者優先のフードシステム」が構築された背景に着目した。その結果、生産地と消費地の距離の広がりが、「食材の一生」に触れる機会の不足を招き、それが現状の悪化につながっていると分析した。この分析を踏まえ、 消費者と生産者をつなぐ場であるスーパーマーケットにて、消費者に生産現場や食のサプライチェーンに意識を向けてもらうための施策を考案した。

世界の食料問題とフードシステムのつながり可視化したマップ 

・意見交換会の実施
自分たちの提案が食料問題の解決に有効かどうかを検証するため、報告会形式の意見交換会を開催した。マッピングの解釈や提案の妥当性について食料問題に関わる国際機関やNGOの関係者、インタビューの協力者からフィードバックを受けることで、提案内容の改善点を明確にするとともに、次期以降の活動にも活かせる貴重な学びの機会となった。 

もっと詳細を知りたいひとは成果資料よりご確認ください。 


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